ゆうゆう倶楽部

認知症予防や改善には、身体と脳の血流を良くすることが効果的です。わたしたちのデイサービスでは学習療法、脳トレ、歩行トレーニングを実施し、利用者様が健康で元気に過ごすためのお手伝いをさせていただいています。10年前に事業所を立ち上げましたが、当初はめずらしかった「くもんの学習療法」を取り入れています。午前中に学習療法を行うと、意識がはっきりしてきます。脳の動きが活発になってきたら、散歩やレクリエーションを行い、身体と脳の双方から認知症予防を行っています。立ち上げ当時の10年前、80歳でいらした利用者様が、今年90歳を迎えましたが、10年前とほとんど変わらないご様子なのがとても嬉しいです。

施設はログハウス風の建物で、天井から空も見えます。庭には柿やオリーブ、金柑があり、果樹園のようです。甘柿が実るので、柿の皮をむいたり、干し柿にして保存できるようにしています。また、利用者様と金柑の種を取ることは、作業療法にもなり、ジャムやジュースに加工する時間も楽しみのひとつです。また、法人内に子供の施設があり、子供さんが行事で柿を取り来てくれることもあります。交流の時間は、利用者と子供さんもとても喜んでいる様子です。敬老会にも子供さんが来てくれることもあって、利用者様からは元気をもらえる、という声がたくさん聞かれます。

私たちは、利用者様一人ずつに個別の報告書を毎月作っています。学習療法の内容や、テストの結果を個別で記録して、利用者様には今月の自分の感想を書いてもらいます。ご家族は利用者様が字を書けることにもびっくりされるようです。ご家族にも一言書いていただき、ケアマネさんにお渡しして、情報を共有しています。また若いころのお話をしてくれたことも、ご家族に伝えると、より理解が深まるようです。利用者さんに話しかける際も、イエス、ノーで答えられる質問ではなく「そのブラウス、どこで買いましたか？」という質問から、「とても似合っていてお顔が映えますね」と、にこっとしていただける会話を心がけています。なにもしないと感情が鈍くなってしまうので、たくさん褒めて、心で感じ取っていただけるよう、スタッフと協力し合って楽しい会話の時間を過ごしています。

学習療法で元気になったというお声はたくさんいただきます。ご家族からも、家で冗談を言うようになったと伺います。また、無気力でいらした方が、自分のことは自分でしようと活気付いていらっしゃる様子もお見受けします。デイサービス内では、やりたいことをやりたい人にお任せしています。テーブルを拭く係りの方、いすを並べる係りの方、と皆さんが役割を持って動いてくださいます。コーヒーが好きな利用者様がコーヒーを淹れてくれるのですが、皆さんがマスターと呼んで楽しい時間になっています。こうして役割を持っていただき、歳をとってもまだやれるんだと自信を持っていただきたいと願っています。